「寂不異音」at 高円寺 Oriental Forceに出演しました + グルーヴボックスとしてのBOSS RC-505 mkIIレビュー
こんにちは、A Smooth Architectです。先月2025年1月19日(日)、高円寺 Oriental Forceにて開催された電子音楽のイベント「寂不異音」に出演させていただきました。当日の私の演奏の様子は動画をご覧ください(出演をオファーいただいた高幡さん、撮影いただいた皆様、ありがとうございました)。
今回の使用機材は以下です。
BOSS RC-505 mkII(ルーパー、使用方法は後述)
KORG Nano KEY Fold (MIDIキーボード、RCに接続してボコーダー用に使用)
KORG Kaossilator Pro+(シンセサイザー)
Roland P-6(サンプラー)
Erica Synths Pico Input + centrevillage CLKM + Noise Engineering Ruina Versio + Qu-bit Prism + centrevillage Sprout + Erica Synths Pico Output (モジュラーシンセ ※ Kaossilator Pro+ に直結したエフェクターとして使用)
Behringer DR-600(デジタルリバーブ)
Behringer XENYX 1002(ミキサー)
ライブのたびに、今回こそは機材の数を減らすぞ!と毎回意気込むのですが、最も数、重量が多いものになってしまいました・・・何とかならんのかな、これ(苦笑)。
ところで、今回のメイン機材となった、BOSS RC-505 mkIIの紹介をしたいと思います。これは世間一般には5トラックのルーパー(リアルタイムでループするフレーズを重ね録りしていくアレですね)と捉えられていると思うのですが、僕の場合はいわゆる「グルーヴボックス」的な使い方をしました。具体的にはトラックリリース用に使ったAbleton LiveのデータからループサンプルをWAVファイルとして5トラック分をエクスポートし、RCにインポートして同時再生。フェーダーの上げ下げで展開を付けるという使い方をしました。要はRCの「メモリー」(5トラック分のループサンプル+エフェクト設定)ひとつを、Ableton Liveで言うところの「シーン」ひとつとして使った、と考えていただければよいと思います。
僕の場合は、1曲=1メモリーごとに、概ね以下のようにトラックを割り当てていました。
1トラック=ドラム
2トラック=ベース
3トラック=上物その1
4トラック=上物その2
5トラック=上物その3(曲展開を変える、サビ的なもの)
とはいえ、原曲はもっとたくさんのトラックを使っているので、ファイルインポート前にはLiveを使って、例えば上物3~4トラックをひとつにまとめた上でエクスポートしています。かつ、Ableton Liveで5トラックだけを使ってRC-505 mkIIでの「鳴り」のシミュレーションを行い、物足らないところは新たにフレーズを作って、P-6でワンショットサンプルとして鳴らすということをやりました。なお「メモリー」の切り替えはLive同様ノンストップで行えますが、Liveのように切り替えタイミングを自分で決められるわけではなく、「ひとつのメモリーの中で、一番長いループが一周回り終えた時」になるので、そこだけは注意が必要です。
実はこのRC、ライブでの利用とはまったく別の目的で購入したあげく、使わないまま手放そうと思っていたのです。で、手放す直前に、試しに自分の曲の一部分を取り込んでみたところ、とても「イケる」ことが判り、加えてタイミング良くライブ出演のオファーを頂いたので、めでたくライブでのメイン機材の座を獲得したというわけです。
RCにインポートしたサンプルはもちろんLive同様オート・タイムストレッチするので、テンポの変更も自由自在です。RC上でのサンプルの編集こそ出来ませんが(リバース再生や、再生速度(倍速、1/2テンポ)を選べるくらい。ただしワンショット再生に変更することも出来る。ルーパーなのに)、マイク2系統、(ステレオ)ライン入力2系統の入力ソースに掛けるエフェクトと、トラックに掛けるエフェクト、そしてマスターエフェクトは完全に独立しているので、かなりエフェクトで「遊ぶ」ことが出来ます。エフェクトの種類も、保守的なBOSS(ローランド)には珍しく、過激なものが多いです。ただしエフェクトは一度に4種類使えますが、特定のトラックか、5トラック全部にかけるかのどちらかしか選べません。「ディレイを1、3、4トラックにかける」ということはできないので、ここはちょっと残念ですね。
ところでRC-505 mkII、サンプルの内部処理が32Bit Floatということで、関係があるかどうかわかりませんが、インポートしたサンプルの音質が良いと言うか、「音楽的に気持ちいい」音になっている気がします。また、事前の仕込みにおいては、ループサンプルを単にインポートして終わりではなく、RC上でエフェクトの割り当てなどの細かい設定を加えていく必要がありましたが、操作性が大変良いです。ディスプレイに表示される情報がアイコンを多用していて、とてもわかりやすいのに加え、再生を止めずにデータ保存が出来る(ローランドに限らず、国産のハードでこの機能があるものはめったにない)のが素晴らしいです。その代わりと言っては何ですが、PDFマニュアルは(機能が多すぎて)メチャクチャ読みづらいので注意です(苦笑)。
RC-505 mkIIを使ったライブの最大の利点は、フェーダーを使って曲展開が出来るので、ライブ用にシーケンスを組み直さなくて良いというところだと思っています。つまり、僕のように「トラックをリリースしてライブも行う」人の場合、RCを活用することで、トラック制作に使ったオーディオデータをそのままライブで使うための手間が大幅に短縮されるわけです。正直、RC-505 mkIIがこんなに「使える」機材だとは思いませんでした。あえて欠点を挙げるとすれば、
・メモリーの並べ替えが出来ない
・メモリーの複製も出来ない(1トラックだけサンプルを入れ替えてバリエーションを作りたい、ってことありますよね)
ということくらいですかね。これらは機能追加、されないだろうなあ。。。
なおこのRC-505 mkII、発売当時はバグが大変多かったらしいのですが、数回のアップデートの成果として、僕が今回のライブ(とその仕込み)で使い倒した際には一度も不具合には遭遇しませんでした。あと今回のライブではRCのエフェクトを使ったボイス・パフォーマンスも試みたのですが、例によって会場ではハウリングが起きてNGでした(よって冒頭のあいさつだけボコーダーで行いました)。やはり小さいライブスペースだと、スピーカーは演者の後ろ(=マイクの後ろ)に置かざるを得ないので、エフェクトを掛けた(=倍音が追加される)マイク音はNGになってしまうようなのですね。この解決策はあるのだろうか。うーむ。
それと、RCとは関係ないのですが、せっかくモジュラーでエフェクター・セットを組んでいったのに、演奏中は余裕がなくてほとんどいじるヒマがなかった(苦笑)のは今後の反省点ですね。ではまた次の機会に!
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